難病・ベーチェット病にかかりやすい主要遺伝子を解明したと発表
全身の粘膜に炎症を引き起こし、失明することもある原因不明の難病・ベーチェット病にかかりやすい主要遺伝子を解明したと、横浜市立大学などの国際研究グループが、アメリカの科学誌『ネイチャー・ジェネティクス』に発表しました。
ベーチェット病について
ベーチェット病は、トルコのイスタンブール大学の皮膚科フルス・ベーチェット医師が初めて報告したことからこの名となりました。
主症状
口腔粘膜のアフタ性潰瘍
出典:https://youtu.be/XB7J89qiKQc
初期症状であり、口内炎のようなものが頬の粘膜、扁桃、歯ぐき、舌、唇の内側、咽頭、口蓋などさまざまな箇所に痛みと共に現れます。
また、一番の特徴は”何度もくり返し””ほぼ100%”口内炎のようなものができることです。
皮膚症状
男女ともに9割程度の確率で現れ、痛みを伴って赤く少しふくれます。ひざより下によく見られ、1~2週間で治癒します。
また、口腔粘膜のアフタ性潰瘍と同様”何度もくり返す”特徴を持っています。
外陰部潰瘍
男性患者の45%、女性患者の65%程度に陰部に強い痛みを伴った潰瘍が現れ、1~2週間で治癒します。
他の病気ではあまり見られない症状のため、陰部潰瘍が見られたらベーチェット病の可能性が高いです。
眼症状
男性患者の70%、女性患者の45%程度で、主に”虹彩毛様体炎”と”網膜ぶどう膜炎”が見られ、男性が重症化する傾向にあります。
また、これらによって失明する原因とされます。
その他の炎症箇所
- 関節
- 血管
- 消化器
- 神経
- 睾丸部
など
このようにほぼ全身に見られる炎症性疾患がベーチェット病です。
原因は?
原因は不明とされていますが、遺伝的による疾患の起こりやすさ(内的要因)や、環境や感染病原体など(外的要因)の原因ではないかとみられています。
横浜市立大学などの国際研究グループがベーチェット病にかかりやすい主要遺伝子を解明
横浜市立大学の医学部眼科学教授の水木信久氏らは、日本、トルコ、イランなどのベーチェット病患者3,477人と、非患者3,342人のそれぞれの遺伝子20万個を調べた結果、関連する遺伝子のある領域が新たに6箇所あることを発見しました。
これまでに11箇所の変異が見つかっており、今回の研究で主要遺伝子がほぼ解明できたのだそうです。
ソース:ベーチェット病の新規の疾患感受性遺伝子および発症メカニズムを解明
この研究発表により、遺伝子による疾患の起こりやすさという内的要因はほぼ解明されたことが分かります。
その他にも外的要因が関わるのかなども分かり、治療薬も開発されれば難病ではなくなる未来も近そうですね。