自分でできるパニック障害の認知行動療法
今回も『自分でできる認知行動療法 うつ・パニック症・強迫症のやさしい治し方』に紹介されているパニック障害のセルフカウンセリングについてまとめます。
認知行動療法って何?という人は『精神疾患を薬を使わず快方へ。認知行動療法とは?』を一読の上、本記事にいらしてください。
何が怖いのか考えてみよう
パニック障害はパニック発作を起こしたらどうしようと恐怖感を持つ「予期不安」と、逃げ場のない場所でパニック発作を起こすことや、発作を他人に見られることを恐れる「広場恐怖」があります。
そして、多くの人が次のようなことが怖いと感じているようです。
- 飛行機に乗る
- 美容院でパーマをかける
- エレベータに乗る
- コンサート会場や映画館のような混雑する場所に行く
などで、これらに共通するのは”倒れたらどうしよう”や”死ぬかもしれない”という恐怖や、”周囲に迷惑をかけてしまうかもしれない”という不安が強いために起こる症状なのです。
パニック発作を繰り返す理由は「偏った考え方のクセ」と「安全行動」
パニック障害は、あなたが強いストレスを感じる場面で引き起こされる症状に
注意を向けすぎるところから始まります。
そして、死ぬかもしれないという身体感覚への誤解(偏った考え方)が余計に発作を強める要因(悪循環)となっているのです。
そしてもう1つ、パニック障害がなかなか良くならないのは「安全行動」というものです。
- ドキドキしたらすぐに座る
- 横になって安静にする
- 逃げ道を探す
- 自分の体に注意を向ける
- 薬を持ち歩く
など、パニック発作が数回起こると、その場面に身を置くことでまた発作が起きるのではないかと不安がふくらんでくると取る行動です。
悪循環の図を書き込む用紙はここからどうぞ。
なぜ、安全行動がダメなのか
「偏った考え方のクセ」が発作を繰り返す原因になることは分かりますが、なぜ安全行動がそれにあたるのでしょうか。
安全のために行動すること自体が悪いわけではありません。
ただ、パニック障害の安全行動は身体感覚への誤解(偏った考え方)に基づくものなので、儀式的な意味はあっても、実際に安全を高める役割を果たしていません。
反対に、安全行動ばかりしていると、身体症状への感覚がさらに過敏になり、発作を起こしそうな場所への恐怖よりも大きくなってしまうというわけです。
あくまで安全行動は自転車の補助輪のようなものなので、ゆっくり時間をかけてやめていくことが、パニック障害を治していく一歩と解説しています。
発作は必ず治まる!というイメージを
そもそも人を含む動物は不安や恐怖のような感情を脳の偏桃体という場所で感じると、恐怖の対象である敵と、闘うか逃げるの準備をするために動悸や息切れを引き起こす交感神経系を活動させます。
その逆もしかり、動悸や息切れから不安や恐怖も感じる心身相関を起こすことがあるため、これは特別な症状ではなく当たり前のことだと受け止めましょう。
動悸や息切れをあるがままの気持ちでながめ、時間がたてば必ず治まるというポジティブなイメージを思い浮かべるトレーニングをしましょう。
曝露療法(エクスポージャー)でじょじょに慣らしていこう
パニック障害の人の多くは苦手とする場面や場所に悩まされています。
特に広場恐怖症には、あえて不安に感じる場面や場所に身をさらす曝露療法(エクスポージャー)が効果的です。
基本原理としては”不安は時間と共に小さくなる”、”不安は練習を重ねるうちに小さくなる”の2つです。
大切なのは、
- 実行する前に心の準備をし過ぎないこと
- 小さな刺激からじょじょに慣らしていくこと
成功するイメージを浮かべて迅速に行動するようにし、段階的に時間を伸ばしたり、刺激を高めていくなどして慣らしていきましょう。
ココロのエクササイズをしてみよう
パニック障害の人交感神経系は過敏に働く傾向にあるので、清水栄司教授監修の「ゆっくり呼吸法」がおすすめです。
過呼吸になりそうだと不安に思う人特にやってみてください。
1日3回朝昼晩に次の通りにやってみましょう。
- 秒数が分かる時計を近くに置いて、楽な姿勢でイスに座るか、ゆったり寝る
- 呼吸を3秒止める
- 息を3秒かけて吐きながら、頭の中で「リラックス」と唱える
- 息を3秒かけて自然に吸う(吐ききったら自然に吸える)
- 吐いて3秒、吸って3秒を10回=1分間で10回のゆっくりした呼吸
これを5分ほど続ける
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