自分でできるうつ病の認知行動療法
前回は、『自分でできる認知行動療法 うつ・パニック症・強迫症のやさしい治し方』で紹介されている、認知行動療法とはどんなものかということと、予備知識として専門用語のご説明をしました。
今回は、自分でできるうつ病の認知行動療法についてまとめました。
何がつらいのかを落ち着いて考えてみる
- どんなつらさを抱えているのか
- そのつらさはどこからきているか
- そこから抜け出せたらどんなことがしたいか
これらを声に出すことで自分自身の心に届けることが大切なのです。
悪循環の要素がないか考えてみよう
認知行動療法では、起こったことにその人がする一連の反応を次のように分けて考えます。
- 出来事をどう考えたか(認知)
- どんな気分になったか(感情)
- 何をしたか(行動)
この一連の反応で一番重要なのは、理性が働き出す前に”とっさに浮かぶ考え(自動思考)”→どんな気分になったか(感情)です。
これがうつ病の悪循環を引き起こすスイッチとなります。
例えば、何かうまくいかないことがあったときに、
「私が悪いんだ」ととっさに考え→落ち込む
ということが日常的に続いていたのではいい結果にはつながらないでしょう。
偏った考え方のクセを考え、見直そう
認知行動療法では、”とっさに浮かぶ考え(自動思考)”の他に、”偏った考え方のクセ”に注目します。
とっさに浮かぶ考えとは、あなたの偏った考え方のクセが現れたものです。
それは人によって千差万別で、考え方のクセは必ずあるものですが、何をやってもうまくいかず悪循環になっている場合は、その偏った考え方のクセが影響しています。
大切なのは本来のあなたを生かす形でスキーマ(考え方の図式)の偏りを見直しながら修正し、バランスをよくしようすることだと本書では述べています。
あなたの悪循環要素を図にしてみよう
考え方の偏りは、親から受け継いだ気質も一部あるかもしれませんが、大部分は家族・知人との関係も含めた生活環境と習慣の中でできあがったものです。
うまくいかなかった出来事を例に書いてみましょう。
- 出来事:どのような出来事が起こったか
- 偏った考え方のクセ(スキーマ):人生の中で培われたあなたの考え方のクセ
- とっさに浮かぶ考え(自動思考):出来事によってとっさにどう考えたか
- 気分(感情):スキーマと自動思考を踏まえてどう感じたか
- 行動:スキーマ→自動思考→気分→理性の末、どのように行動したか
これにより、何がダメだったのか、どう偏っていたのかが分かるということですね。
頭の中でごちゃごちゃになっていたものを図にして書き出すことで、整理されることでどこが偏っているのか、悪影響のスイッチとなっているのかを特定できます。
自動思考や行動を少しずつ変えていこう
”とっさに浮かぶ考え(自動思考)”は確信が持てる考えでしょうか。
どんなに絶対そうだと思って発言したり行動しても必ず正しいとは限りませんよね。
確信が100%でないのは、そこに別の考え方を入れる余地があるということなので、そこに別の見方や合理的な考え方が隠されているのです。
別の見方をするヒントとして、「あんなふうにゆとりを持って生きられたら楽だろうな」と思う身近な人や有名人の考え方や行動をトレースするのも1つの方法としています。
とにかく自分の考え方に固執しないようにし、考え方を修正する習慣がついて来たら、次は行動を慎重に少しずつ変えていきましょう。
ココロのエクササイズをしてみよう
問いかけの答えを声に出して(心の中で唱えてもOK)みましょう。
慣れれば5分でできるようになります。
- 今のあなたの悩みやストレスは何ですか?(短文で)
- それはどのくらい確かだと感じていますか?(0~100点)
- そのことを考えるとどのくらい辛いですか?(0~100点)
- 1の内容を逆の意味にしましょう(肯定分⇔否定文)
- 4の根拠を考えてください
- 1の悩みやストレスはどのくらい確かだと感じていますか?(0~100点)
- 1の悩みやストレスを考えるとどのくらい辛いですか?(0~100点)
ココロのポジティブエクササイズをしてみよう
人の記憶は、ネガティブな出来事ほど強く残ります。
落ち込みやすい人には偏った考え方のクセがあるため、なおさらネガティブな記憶が重くのしかかります。
そのため、少しでもポジティブな記憶を残そう、少しでもポジティブなじかんがあったことに気付こうというエクササイズです。
やり方ですが、寝る前に3つのテーマに対する答えを越えに出し、今日あったほんのちょっとした小さな良いことを思い出しましょう。
- できたこと
- 楽しかったこと
- 感謝したいこと
カウンセリングで必要な用紙は公開されていますので、どうぞ。
関連記事→辛い経験に限って忘れられない!嫌な記憶を忘れる方法
うつ病に関する事実まとめ
うつ病の前段階。適応障害(AD)とはどんな病気?
雑音に敏感になる様々な可能性
不安はあらゆる不安障害や精神疾患の元!不安のメカニズムと和らげる方法 前編
本記事にご紹介しているのは『自分でできる認知行動療法 うつ・パニック症・強迫症のやさしい治し方 ココロの健康シリーズ』で解説されている方法を独自にまとめたものです。
もっと詳しく読みたいという方は本書をどうぞ。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません