心的外傷後ストレス障害(PTSD)とはどんな病気?
心的外傷後ストレス障害(PTSD)は”トラウマ”という名称で広く知られています。
事故、暴力、天災など様々な恐ろしい体験や目撃により悪夢を見たり、思い出すものから遠ざかろうとします。
今回は心的外傷後ストレス障害(PTSD)とはどんな病気なのかについてお話します。
心的外傷後ストレス障害(PTSD)とはどんな病気?
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- 虐待の被害者
- 家庭内暴力(DV)の被害者
- 暴力犯罪の被害者
- 飛行機や自動車などの事故
- 台風、竜巻、火事などの天災
- 戦争
- 命の危機に直面したとき
- 上記を目撃した
その他にも状況や人によって異なりますが、共通しているのは強烈な精神的ショックがダメージとなり、時間が経過しても強い恐怖を感じるのです。
アメリカでの生涯有病率(一生のうちに一度は病気にかかる人の割合)は6.8%という調査結果が出ています。
また、心的外傷後ストレス障害と気づかない人もいるため、1ヶ月以上続く場合は疑った方がいいでしょう。
心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状
- 突然、その時の記憶が思い出す
- 鮮明な記憶が夢に出てくる
- 眠りが浅い
- 危険を過度に警戒する
- 怒りっぽくなる
- 人に気を遣えない
- 人を信用出来なくなった
- 常に神経が張りつめている
- 些細なことで驚く
- 記憶を呼び起こす状況や場面を避ける
- できごとから1ヶ月経過しても症状が続く
患者は脳が委縮
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アメリカの研究で、1990年にイラクで勃発した湾岸戦争で兵士として参加し、PTSDとなった一卵性双生児の片方と、PTSDに罹っていないもう一方の双生児のペアがいます。
また、戦争には行かずにPTSDになった一卵性双生児と、PTSDに罹っていないもう一方の双生児のペアで、それぞれの海馬体積を比べました。
その結果、両ペア中のPTSDの症状を表した2人では、非PTSDの2人に比べて”海馬体積が減少していた”というものでした。
このことから、海馬体積が小さいことがPTSDへの脆弱性を予想できそうであると研究者らは語っています。
出典:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/2/22/Gray727_anterior_cingulate_cortex.png
日本でも精神医学の山末英典氏らは、PTSD患者は海馬だけではなく”前部帯状回の灰白質の体積も減っている”と報告しました。
さらに山末氏らは、前部帯状回の灰白質の体積が減少しているほどPTSDの重症度が高いとしました。
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