人間はバイアス(偏見、差別)の生き物~わたしたちを蝕むバイアスたち②~
わたしたちを蝕むバイアスたち①に引き続き、バイアスのご紹介をします。
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マンガでやさしくわかるアドラー心理学 [ 岩井俊憲 ]
文脈効果
前後の文脈の状況で何を思い起こすのかが変化することです。
例えば、食卓で「はし」と言うと「箸」を思い起こしますが、外で「はし」と言うと「橋」や「端」を思い浮かべてしまうことを言います。
情報フレーミング
同じ情報であっても見方や説明の仕方によって異なって見えることを指します。
例えば、医者に「手術の失敗率は30%です」と「手術の成功率は70%です」では受ける印象が違いますね。
反射的逆評価
相手の意見や提案を低く評価してしまう傾向です。
自分のこと以外は過小評価してしまうようですね。
選択的知覚
自分の信念とは異なる事に気づかないか、気づいてもすぐに忘れてしまう傾向を指します。
類似:バイアスの盲点、敵対的メディア効果
逐語効果
使用された語句や表現よりも、その内容のほうが記憶に残りやすいことです。
そのため、その内容をまた別の人に伝える際は、違う言葉に置き換わっていきます。
アンカリング
最初の特徴や数値などの情報が印象に残ってしまい、後の数値の判断に影響される傾向を言います。
値札やチラシの値下げ表記によく見られます。
5,980円 → 3,000円
サンクコスト効果
これまでかけた努力・費用・時間が無駄だと分かっていても、何とか取り返そうとさらに続けてしまう心理です。
これに多く見られるのは、ギャンブラーや投資家です。
テスティリング効果(テスト効果)
情報を聞いたり書いたりする反復学習より、情報を検索する(思い出す)方が記憶が強化されることを言います。
定期的にあるテストはこのためです。
ゼロサム・ヒューリスティック
誰かが得をすれば、その分損する人がいるはずだと思う傾向です。
お金で考えられることが多いようです。
プロスペクト理論
不確実な選択を行う際、利益を得るケースではできるだけリスクを回避しようとし、損失が出るケースでは赤字をできるだけ抑えようとすることです。
「損して得取れ」に近いでしょうか。
バンドワゴン効果
ある選択を判断するとき、周囲の意見や流行していることで、その選択への支持が一層強くなることを指します。
利用可能性カスケード
報道などにより共有された観念は、より”正しい”と強調されてしまう傾向です。
些細な出来事をメディアが報道することから始まり,一般市民のパニックや大規模な政府介入に発展するという過程をたどる。
出典:利用可能性カスケード
利用可能性ヒューステリック
思い出しやすい情報の記憶ほど、頻度や確率を高く見積もってしまうバイアスです。
少数の法則
例外かもしれない少数のサンプルの調査結果を正しいと思いこんでしまう傾向のことです。
「わたしの経験上○な人は○だよ」と話す場合は、たいてい少数の法則のバイアスがかかっています。
後知恵バイアス
できごとが起こってから「そうなると思った」と後付けする傾向です。
心理学実験では、できごとが起こったときに予測が当たると、被験者はそのできごとの発生前に予測していたと記憶する傾向があることが分かっているそうです。
非対称な洞察の錯覚
私のことは誰も理解してくれないと思いながら、自分は相手をよく理解していると感じる思い込みです。
文字にしてみるとすごい傲慢に感じますね。
しかし、思い当たる節がありませんか?
擬似的空間無視
一般に右利きの人は、視野の左半分に注意を払う傾向にあります。
それは、右脳の方が映像処理が得意だからと言われています。
平均以下の効果
ある程度学習を重ねてできるようになった難しいことをこなす能力について、「こんなの誰でもできるだろうから、自分は平均以下だ」と過小評価する傾向にあります。
これは、ダニング=クルーガー効果とは逆パターンになります。
ダニング=クルーガー効果
何かをすることができない人ほど、自分のレベルを測ることもできないので、自己の能力を高く評価してしまうことです。
類似:平均以上の効果、優越錯覚
以前の記事に書いておりますので興味があればどうぞ。
関連記事→能力の低い人ほど自己を過大評価!?
平均以上の効果
車の運転など日常的な能力について「自分は平均より上手い」と思うバイアスのことです。
優越錯覚
自分は平均より優れていると根拠なしに思い込むことです。
行動や認知を制御する、ドーパミンが多く見られる「線条体」と前頭葉にある「前部帯状回」の結び付きが弱い人ほど、優越の錯覚が強くなることが分かったそうです。
出典:「自分は優秀」 心理学の“優越の錯覚”はなぜ起きる? 放医研がメカニズムを解明
防衛的帰属
事故やトラブルのニュースを聞いた際に、被害が大きいほど、または被害者が自分の立場と似ているときほど、より加害者の責任が重いと考える傾向にあります。
感情移入してしまい、自分にそのような被害を被ったらと考えるのでしょう。
部分手がかり抑制効果
一般的に思い出せない事柄があっても、ヒントを与えると思い出しやすくなります。
しかし、ヒントの種類によっては、ピンポイント以外の項目を思い出しづらくなってしまうことを言います。
一貫性バイアス
対象に一貫性を求め、また一貫性のあるものを信じようとすることや、自分の過去の記憶を歪めてまで性格や主義の一貫性を維持し、将来に向かっても同じように一貫性を維持しようとする傾向です。
昨日と今日では言っていることが違っているのに、「そんなことは言っていない」と否定している人がいれば、この一貫性バイアスにかかっているのかもしれません。
グーグル効果
調べればすぐに答えが出てくるため、インターネット内にある情報は自分の脳の中の知識であると思い込んでしまうことです。
インパクトバイアス
トラウマになるほどの出来事に遭遇した場合は、時には死を選ぶほどの壊滅的な感情になると予想し、対して幸福な出来事があった場合は、その気持ちが長期にわたって続くと予想する傾向にあります。
しかし、実際はその両極端な出来事の半年後には、依然と変わらないほどの幸福レベルに落ち着いていく作用が働きます。
フォールス・コンセンサス効果
組織に属する個人が、自分の意見は多数派で他人も合意してくれるだろうと勘違いする傾向を言います。
例)
学生にサンドイッチマンの格好をしてキャンパスを歩き回るよう依頼しました。そして、それをOKした学生とNGだった学生に分けて次の質問をしてみたのです。「同じことを、君が別の学生に頼んだらOKしてくれると思うか?」。学生の回答は、OK組は「思う」が6割で「思わない」が4割だったのに対し、NG組は「思わない」が7割で「思う」が3割という、真逆の結果となったのです。
出典:自分が選んだ意見が多数派だと思ってしまう理由「フォールス・コンセンサス効果」
類似:偽りの合意効果
偽りの合意効果
自分の意見が他人も合意してくれるだろうと勘違いする傾向です。
舌先現象
思い出せそうで思い出せない現象のことを言います。
こんなことにまで心理学的な名前があるんですね!
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連言錯誤
情報の数によって結論に影響がないにも関わらず、情報が多いほど特定の情報に意識が行き、その情報の内容が実際に起きる確率を高く見積もってしまう傾向を言います。
有名な「リンダ問題」というものがあります。
「リンダは31歳、独身で、非常に聡明で、はっきりものをいう。大学では哲学を専攻し、学生時代は人種差別や社会正義の問題に関心を持ち、反核デモに参加していた。」リンダの今を推測する場合、可能性が高いのはどちらか。
A:銀行員である。
B:銀行員で、女性解放運動もしている。出典:ヒューリスティックス
さて、AとBではどちらだと思いますか?
Bだと思った方は連言錯誤にかかっていますよ。
どちらも確率は同じです。
曖昧性の回避
確率が測れるものを好み、測れないものを避ける傾向があります。
何が入っているか分からない箱より、中身が分かっている箱選ぶというようなものですね。
行為者・観察者バイアス
他人の行動についてはその人のと”内部”に原因を求め、一方、自分の行動については環境といった”外部”に理由を求める傾向にあります。
例えば、同僚の仕事が上手くいっていない場合は「本人の能力の問題」だと判断し、自分の仕事が上手くいっていない場合は「誰も協力してくれなかったから」だと考えることです。
脳って自分勝手にできているんですね。
正常性バイアス
災害などの自分に降りかかる災難の可能性を、「自分は大丈夫」と根拠なく過小評価してしまいます。
これは特に日常的に感じることが多いのではないでしょうか。
計画錯誤
計画錯誤とは心理学用語で、作業をするときの時間やコストを実際よりも過小評価してしまうことです。
「平均的に、人はプロジェクトの完了にかかる時間をおよそ40%も低く見積もってしまう」と、ウィルフリッド・ローリエ大学で心理学の教鞭をとる、Roger Buehler教授は「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」で語っています。
出典:遅刻するのは脳のせいだった
関連記事→時間管理への一歩!計画錯誤を克服してタスクをこなす
貨幣錯覚
実際の価値ではなく金額そのものを重視し、実質的価値の変化に気づかず行動を決定する傾向にあります。
オーストリッチ効果
自分の不都合なことは見なかったことにする傾向を指します。
「知らぬが仏」ですね。
第2回もこの辺で、次回へ→