においに関する様々な研究結果

2019年3月4日

においに関する様々な研究結果

あなたは”におい”に敏感ですか?鈍感ですか?
男性より女性の方がにおいに敏感と言われていますが、個人差もあるでしょう。
また、自分が発するにおいについても、疑問や変化があると思います。
今回はにおい関する様々な研究結果についてお話します。

 

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嗅覚が鋭い人ほど方向感覚に優れている

この研究はイギリスの総合学術雑誌『Nature』に掲載された論文で、カナダにあるマギル大学が以下のように行った実験です。

参加者57人にバーチャルの町を歩いてもらうという実験を行った。その際、まず各自に20分間そこを散策してもらい、町中の作りを覚えてもらった。それが終わってから、ある場所からある場所への行き方を質問した。

 また40種類のニオイを嗅いでもらい、それが何のニオイなのか当ててもらうというテストも行った。

出典:嗅覚と方向感覚に関連性。ニオイに鋭い人ほど方向感覚が優れているという研究結果(カナダ研究)

その結果、成績がよかった人ほど散策テストでの成績もよかったことが判明したのです。
実はどちらも”内側眼窩前頭皮質”(眼球のはいっている頭骨前面の穴)と”海馬”を刺激しています。

嗅覚が鋭い人ほど方向感覚に優れている出典:眼窩前頭皮質|wikipedia

これまでの研究で、眼窩前頭皮質の左側が厚いほど空間記憶が向上し、海馬の右側が熱いほど嗅覚が鋭くなることが分かっていることから、嗅覚と空間を把握する能力は繋がりがあるのです。

 

 

認知症になるとにおいが分からなくなる

認知症には以下のような脳の変化が大きく関わっていると考えられています。

  • アミロイドβの蓄積(老人斑)
  • 神経原線維変化(タウ)
  • アセチルコリン神経(前脳基底部のニューロン)の脱落
    など

特にアセチルコリン神経は、前頭葉底面の後端に位置するニューロンで、認知に関係する”新皮質”に最も多く含まれ、記憶に関係する”海馬”についで、嗅覚に関係する”嗅球”に含まれます。

そのため、アセチルコリン神経が減少すると、最も早く不足するようになり、認知症やアルツハイマー病の早期から嗅覚が鈍くなると言われています。

嗅覚の低下は様々な原因がありますが、長期にわたってにおいが分からなくなったという場合は、認知症の初期症状かもしれません。

関連記事→脳が委縮するとどうなるの?症状は?
     脳が萎縮する原因はどんな生活習慣?

 

 

人格障害がある人は嗅覚能力が低い

人格障害がある人は嗅覚能力が低い出典:https://pixabay.com/photo-1059419/

学術誌『Chemosensory Perception』に発表され、オーストラリア・シドニーにあるマッコーリー大学た心理学部の研究者らは人格障害と診断された19~21歳の79人を対象に以下のような検査をしました。

 用いたのはペン型のスティック1本ずつに異なる匂いを入れたスティック型嗅覚検査法で、オレンジやコーヒー、皮革の匂いなど16種類で検査した。すると被験者たちが匂いを特定したり、かぎ分けることに問題を抱えていることが明らかになった。また人格障害の診断スコアが最も高かったグループは、嗅覚能力が最も低いグループと一致した。
出典:人格障害と嗅覚能力に関連性、豪研究

脳の前頭葉にある眼窩前頭皮質は、衝動や計画性、社会規範に沿った行動などをつかさどる部位です。
『嗅覚が鋭い人ほど方向感覚に優れている』では眼窩前頭皮質が厚いほど空間記憶が向上すると先述しましたが、人格障害の人は嗅覚に問題があるとともに方向感覚にも問題があるかもしれませんね。

また、認知症でも嗅覚の機能が低下するということから、人格障害と認知症と方向感覚は何らかの関連がある可能性があるということでしょうか。

関連記事→人格障害(パーソナリティ障害)の種類

 

 

加齢とともに、男性は“嫌なにおい”が増加。女性は“良いにおい”が減少

一般的ににおいについて、「なぜ男性は年と共に嫌な臭いがきつくなるのか」、「なぜ若い女性は何もつけていないのにいい匂いがするのか」と思ったことはありませんか?

ロート製薬の研究開発者によると、男性は30代以降に2-ノネナールという物質が多くなり、これがいわゆる加齢臭のもとになるとしています。

おい”が増加。女性は“良いにおい”が減少出典:女性のにおい変化に新たな一手を、研究者の想いとは

一方、300人の女性を対象に行った調査では、40歳以上の方のほとんどが「自分の身体のにおいが変わった」と感じています。
実際の研究でも、10~20代女性は花や果物などに含まれるラクトニンC10、ラクトニンC11という臭気成分が甘い香りとして多く発せられ、30代以降から次第に減少していくことが分かったと語っています。

また、この甘い香りが加齢臭を打ち消すことができると別の実験で分かったそうです。
つまり、同じ空間に加齢臭を放つ男性と、甘い香りを放つ女性がいた場合、加齢臭がしなくなるということですね。
すごい発見です!

関連記事→男女の機能の違い

 

 

参考:女性のにおい変化に新たな一手を、研究者の想いとは
   An intrinsic association between olfactory identification and spatial memory in humans
   嗅覚と方向感覚に関連性。ニオイに鋭い人ほど方向感覚が優れているという研究結果(カナダ研究)
   なぜ認知症になると「におい」がわからなくなるの?
   人格障害と嗅覚能力に関連性、豪研究