苦味の感じ方に関する話 前編
あなたは食べ物の好き嫌いが多いですか?
これは苦い
これは味が濃い
これは脂っぽい
と、あれもこれも食べ物の味が気にいらず好き嫌いしてばかりしている人がいます。
そんな人は実はスーパーテイスター(超味覚)かもしれません。
逆に苦味に鈍感な人もスーパーテイスターと同じくらいの割合で存在します。
今回は苦味の感じ方に関する話。
苦味を感じない人の割合は人種間や性別で異なる
苦みに対する感受性は、ブロッコリーやキャベツ、ナタネに含まれている「フェニルチオカルバミド(PTC)」という苦味物質と、化学的に構造が似ている「プロピルチオウラシル(PROP)」という物質に対して、苦味を感じない人と、ひどく苦く感じる人がいます。
苦味を感じない人の割合は、女性よりも男性の方が多く、人種間で幅があると推測されており、以下のようになります。
- 西アフリカ地域:およそ3%
- 中国地域:およそ6~23%
- インド地域:およそ40%
- ヨーロッパ地域:およそ30%
- 日本人:およそ10%
なぜ、人種間で苦味の感じ方が如実に現れるのでしょうか。
苦味の感じ方には遺伝子が関係している
地域・人種などによってPTCやPROPの感じ方が大きく変わる要因は,苦味受容体遺伝子であるTAS2R38遺伝子の塩基配列の差異が関係していることが明らかになっており,「苦味を感じる人」は,SNP rs1726866にC対立遺伝子をもっている.
一方,「苦味を感じない人」は苦味受容体遺伝子に,このSNPのT対立遺伝子を2つ持っている.
これは,同じ食物に対し,「苦味を感じる人」と「何の味も感じない人」がいることを意味している.
これらの化合物に対する苦味認識の違いの約20%が,このようなゲノム塩基配列によって説明できると考えられている出典:苦味のお話
少々難しいので要約すると、「フェニルチオカルバミド(PTC)」や「プロピルチオウラシル(PROP)」を感じる遺伝子配列の違いによって”苦味を感じやすい人”と”苦味を感じにくい人”がいるということで、苦味に弱いからと言って”子供舌”であるとは限らないということです。
舌の組織の違い
味を感じる器官はもちろん舌ですが、苦味は舌先の「味蕾(みらい)」という部分が苦味の感受性に比例するといいます。
つまり、味蕾の数が少なく苦味を感じにくい人を「ノンテイスター(味盲)」と一般に言い、味蕾の数が多く苦味を感じやすい人を「スーパーテイスター(超味覚)」と言います。
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次回は『苦味の感じ方に関する話 後編』をお送りします。
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