痛みに敏感な人・鈍感な人はどう違うのか

2020年3月18日

痛みに敏感な人・鈍感な人はどう違うのか

一般的に女性は子どもを産むときの痛み耐える必要があるため、男性よりも痛みに強いと言われていますが、それだけでなく個人によっても痛みに強い人・弱い人がいます。
痛みに強い=我慢強いと言われることがあると思いますが、我慢強さとは別にもともとあまり痛みを感じないという人もいるでしょう。

今回は、痛みに敏感な人・鈍感な人という意味でどう違うのかをお話していきます。

 

 

痛みの感じ方は置かれた環境や、考え方が大きく影響する

痛みの感じ方は置かれた環境や、考え方が大きく影響する出典:https://pixabay.com/images/id-4847987/

本人の周囲の環境や考え方によって、痛みの感じ方が変わるというのはショッキングですが、一体どういった要因で痛みの感じ方が影響するのでしょうか。

痛みを感じやすい要因

  • 筋緊張
  • 薬物の乱用
  • 痛みへ意識が集中している
  • 痛みは制御できないものという考え
  • 不安・恐怖
  • 怒り
  • うつ状態・うつ病
  • 活動が過剰/過小(少食・不健康な行為・公私のバランスが悪いなど)
  • 家族や友人からほとんど支援がない
  • 家族や友人からあなたの痛みへの過剰な注目
  • 家族や友人からの過保護

など

痛みを感じにくい要因

  • 薬の使用が少ない
  • 筋緊張の減少
  • 外へ意識が向いている(気晴らしなど)
  • 痛みは制御できるという考え
  • 予測管理可能という信念
  • 気分の安定(リラックスなど)
  • 適度な活動(健康にいい習慣・公私のバランスが整っているなど)
  • 他者からの支援
  • 家族や友人との適度な関わり
  • 他者から労りや勇気づけられること

など

 

 

 

痛みはセロトニンとノルアドレナリンによって抑制される

痛みはセロトニンとノルアドレナリンによって抑制される

「痛み」は、侵害性(けがなど)、神経障害性、心因性に分類されますが、痛みが発生すると、痛みの情報(シグナル)が神経を通じて脊髄から脳へと伝えられ、痛みの部位やその強さを認識します。つまり、痛みは脳で感じるのです。
痛みを伝える神経がある一方で、脊髄から脳への痛みの伝達を抑制する「下行性疼痛抑制系神経」と呼ばれる痛みを抑える神経があります。この下行性疼痛抑制系神経の働きは、セロトニンとノルアドレナリンによって活性化されることがわかっています。そして、慢性的な痛みの原因のひとつとして、セロトニンとノルアドレナリンの機能低下やバランス異常が考えられています。つまり、セロトニンとノルアドレナリンで下行性疼痛抑制系神経を活性化することができれば、痛みを感じにくくなり鎮痛効果を得ることができます。

出典:薬の効く仕組み~「うつ病にも痛みにも効く薬」『デュロキセチン』~|情報で医療をささえる データインデックス株式会社

簡単にまとめると以下のようになります。

  • 痛みは脳で感じる
  • 痛みの伝達を抑える神経を活発にするのが、”セロトニン””ノルアドレナリン”
  • ”セロトニン”と”ノルアドレナリン”があまり分泌されなかったり、2つの分泌量のバランスが悪くなると、痛みを感じやすくなる
  • 前項の『痛みを感じやすい要因』”不安・恐怖”、”怒り”、”うつ状態・うつ病”はセロトニンが不足し、ノルアドレナリンが多く分泌されている状態

 

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痛みの感じ方は遺伝子が関係

痛みの感じ方は60%遺伝子が関係出典:https://pixabay.com/images/id-4068826/

慢性疼痛に関与する遺伝子、いわゆるChronic pain genesは100以上報告され、多くは神経伝達経路に関わる分子をコードしています。例えばオピオイド受容体や神経伝達物質の代謝酵素(カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ)のゲノム遺伝子の僅かな違い(1塩基多型:SNP)が、鎮痛剤に対する反応性の違い、痛みの感じ方や慢性疼痛発症のリスクに関与していることが明らかになってきました。

出典:島岡 要「痛みとゲノム」|慢性疼痛チーム医療者養成プログラム

ヒトゲノムの解析が完了してから、痛みの感じ方に関係している遺伝子もいくつか特定された。その中でも研究が進んでいるのがSCN9Aで、痛みが脳に伝わるナトリウムチャンネルをつかさどっている。

SCN9Aの突然変異はまったく痛みを感じることができない先天性無痛症や、逆に痛みに過敏になる原発性肢端紅痛症や発作性激痛症を引き起こすことで知られている。

出典:痛みはポジティブ思考で軽減できるらしい…米研究

 

 

 

驚くことに痛みの感じ方は遺伝子で左右され、ある程度自分でもコントロール可能だということが分かりました。

考え方や他者との関わり方、生活習慣を整えることは、すぐに変えることは難しいですが、セロトニンの分泌量を増やそうと試みることや、適度な運動を行うことはできそうですね。

 

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参考:痛みはポジティブ思考で軽減できるらしい…米研究
   薬の効く仕組み~「うつ病にも痛みにも効く薬」『デュロキセチン』~|情報で医療をささえる データインデックス株式会社
   幸せホルモン「セロトニン」|東邦大学医療センター大森病院 臨床検査部
   慢性疼痛について②|医療法人 良仁会 かわたペインクリニック 心療内科
   島岡 要「痛みとゲノム」|慢性疼痛チーム医療者養成プログラム
   脳における痛みの慢性化メカニズム