音楽がもたらす効能とは

音楽がもたらす効能とは

スーパー、ヘアサロン、カフェ、病院などのわたしたちの生活範囲で音楽は必ず耳にするものです。
音楽はただ退屈しのぎだけではないということは、分かるでしょうが具体的にどのような効能があるのでしょうか。

今回は音楽がもたらす効能を科学的に心理的に解説していきます。

 

 

音楽をきくことで認知機能を向上させる

音楽をきくことは認知症の予防や、すでに罹病している患者の症状をやわらげるという話は知られていますが、認知症でない現役世代にもそれは有効で、音楽をききながら仕事をすると、生産性が上がるとされています。

また子どもの場合にも、認知機能を広く向上させる方向に脳を変化させる効果があるのです。

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音楽は不安を軽減する

音楽は不安を軽減する出典:https://pixabay.com/images/id-977020/

病院の待合室や、受験面接の控室などで音楽が流れているのは、こういった意味があるのです。

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音楽をきくと同じ態勢でいる苦痛があまりない傾向

京都大学の実験で、被験者は180分間ヘッドフォンを着用した状態で、ベッドに仰臥位(ぎょうがい)のままできるだけ動かないようにしてもらいました。
そして30分間、身心ともにリラックス状態で過ごしたあと、音楽を聴くチームと、音楽を聴かないチームに分け、音楽を流しました。

60分までは両チームとも差はありませんでしたが、90分を超えると同じ態勢でいることを苦痛だと訴える数が音楽がないチームに増加し、音楽があるチームは減少したのです。

つまり、音楽により同じ態勢による身心の苦痛が軽減される、または苦痛に耐える力が高まるといえるとしています。

ただし、音楽を聴くタイミングによっては身体的苦痛の訴えが増加する危険性が示唆されていると、記しています。

 

 

本当にリラックスできる音楽はインストルメンタル

脳生理学者、評論家である品川嘉也氏 著の『自分を120%活かす右脳刺激法』によれば、歌詞は言語として左脳を刺激するため、音楽によってリラックスを得るためには、左脳が休息し、右脳が活性化されることが必要であると述べています。

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音楽を学ぶことで子どものIQが高まる

音楽を学ぶことで子どものIQが高まる出典:https://pixabay.com/images/id-822803/

音楽は、記憶力、協調性、注意力などの一般的な機能を高めるため、子どものIQが向上することにもつながる。
アメリカのノースウェスタン大学のクラウス氏とチャンドラセカラン氏は、音楽の訓練は、脳の可塑性(神経ネットワークの配線を変える能力)を通じて、音高、タイミング、音色への感度を高め、その結果、声の調子から話者の感情を推察したり、言語を習得したり、ランダムな聴覚刺激の中に規則性を見いだしたりする能力が高まると指摘する。

以前の記事でも紹介しています。

トロント大学のシルベイン・モレノ準教授(心理学)が2011年に発表した48人の就学前の子供を対象にした調査結果では、音楽のレッスンを受けた子供はわずか20日間でIQが高まり、上昇率は視覚芸術の授業を受けた子供の5倍に達した。音楽の訓練は、子供の実行機能、すなわち計画を立て、体系化し、戦略を練り、問題を解決する能力を向上させることが分かった。
出典:音楽がIQを高くする―米国の学力向上策にも

脳科学者の澤口俊之氏によれば、特に4~5歳の幼少期に学んでいたかどうかがポイントで、他の楽器には触れられていませんが、ピアノ演奏は驚くほど脳にいいと語っています。

我々が幼少期で重視しているのはHQ=人間性知能(※2)なのですが、一般知能gF(※3)がHQの中心的な脳機能であるワーキングメモリ(※4)と相関します。ワーキングメモリは問題解決能力、社会性、創造性など、人生の成功に関係する全ての基礎となります。これがピアノで伸びます。
出典:今こそ音楽を!第3章 脳科学観点から~澤口俊之先生インタビュー(1)

補足として、一般知能gFは、言語性IQ・空間性IQ、行為性IQなどの個別的なIQの上位に立つIQで、これが高いということは一般にいうIQが高いと同義です。
ワーキングメモリとは、情報を一時的に保ちながら活用して答えを導く脳の働きのことです。

引用データでは主に子どもを対象に研究結果をあげていますが、別の研究では2004年に大学生が被験者として結果を出しています。

出典:IQが高い人の特徴 9項目

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音楽家は、一般人の脳とは違う構造になっている

音楽家は、一般人の脳とは違う構造になっている出典:https://pixabay.com/images/id-3264716/

脳は各種の精神機能の訓練や学習により変化するため、音楽家と一般人の脳には学習に関連した構造的な違いがあると言われています。

例えば、聴覚系全体を変化させるため、音楽家は音楽以外の聴覚情報についても高い処理能力を示します。
先述した『音楽を学ぶことで子どものIQが高まる』の項のように、声の調子から話者の感情を推察したり、言語を習得したり、ランダムな聴覚刺激の中に規則性を見いだしたりできることにもつながっているのでしょう。

また、音楽家は情報を一時的に覚えておくワーキングメモリが得意だという実験結果があります。
これは、カナダのベイクレスト老人医療センターの附属研究所が実験を行い、被験者は音楽家とバイリンガルが含まれますが、実験内容は以下です。

調査の対象となったのは、音楽家だが1つの言語のみ話せる人(以下、音楽家)、音楽家ではないがバイリンガルの人(バイリンガル)、音楽家でもなくバイリンガルでもない人(対照群)、という3つのカテゴリーのどれかに当てはまる、19〜35歳の41人。それぞれの人たちに2種類のタスクを行ってもらった。

1つ目のタスクは、楽器の音、環境音、人間の出す音のいずれかを2回聞いてもらい、1回目の音は2回目の音と同じタイプのものか否かを判断してもらった。2つ目のタスクは音の来る方向についてで、1つ目のタスクと同じく2回聞いてもらい、1回目の音と2回目の音は同じ方向から来るか否かを判断してもらった。

1つ目のタスク(音楽の種類)について、音楽家は、音楽家でない人たちよりも反応が速く、脳の活動が少なかった。一方でバイリンガルは、対照群と同じレベルだった。

2つ目のタスク(音楽がなる方向)では、音楽家とバイリンガルは、そうでない人たちと比べ脳の活動が少なかった。

音楽家は1と2のどちらのタスクにおいても脳の活動が少なかった結果となったが、この結果は、音楽家が脳神経をより効率よく使用できることを示唆していると研究チームはみている。

出典:音楽家やバイリンガルは脳を効率よく使うことが明らかに

 

 

 

 

参考:音楽の効能
   音楽の心理的効果 と身体に及ぼす影響
   予防にも効果的? 音楽が認知症の症状をやわらげる (2/2) 〈週刊朝日〉
   This Is Your Brain. This Is Your Brain On Music