経済的不平等に関する脳活動パターンから1年後のうつ病傾向が予測可能という研究結果

2018年11月10日

経済的不平等に関する脳活動パターンから1年後のうつ病傾向が予測可能という研究結果

出典:https://pixabay.com/photo-2734073/

同じ仕事をしているのに同僚の方が給料が高い
友達の実家は裕福なのに自分の実家は貧乏

など、経済的に不平等を感じるシーンは日常生活でも多いでしょう。
そんな感情のときの脳の働きから、現在と1年後のうつ病傾向を予測できると、科学技術振興機構と情報通信研究機構が共同発表しました。

 

 

偏桃体と海馬の活動パターンが健常者と違う

偏桃体と海馬の活動パターンが健常者と違う出典:経済的な不平等とうつ病傾向を結ぶ扁桃体と海馬の機能を解明

扁桃体と海馬は、視床下部と共にストレス物質の放出に関与し、うつ病患者では、扁桃体と海馬の脳活動と体積が健常者とは異なることが知られていますがメカニズムは不明でした。

今回の実験では、被験者にMRI装置の中で、相手から提案されるお金の配分を受け入れるか拒否するかを判断する“最終提案ゲーム”と呼ばれる課題を行ってもらい、脳の活動データを取得しました。
“最終提案ゲーム”の目的は、自分と相手の分配の差に対する感情の働きを調べることです。

扁桃体と海馬の中の微小な場所が不平等に反応して作る脳活動パターンから予測をする機械学習技術を考案することで、うつ病傾向の予測を試みたところ、大脳皮質下にある、感情を司る扁桃体が“不平等”に対して反応することを明らかにしました。

その結果、現在のうつ病傾向と1年後のうつ病傾向の両方が予測可能であることが分かりました。

一方、経済的な不平等とは関係のないほかの脳活動パターンや、被験者の様々な行動や社会経済的地位などからうつ病傾向を予測できるか検討したところ、無関係であることが分かりました。

 

 

 

うつ病患者の扁桃体と海馬はどうなっている?

うつ病患者の扁桃体と海馬はどうなっている?出典:https://pixabay.com/photo-311933/
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偏桃体は感情反応と記憶において重要な役割を持つ原始的な脳の領域で、ストレスを受けることで肥大していきます。
そのため一般的には、うつ病患者の偏桃体は大きくなることが報告されています。

一方、海馬は記憶や空間学習能力に関わる領域で、ストレスと受けることで委縮します。
うつ病患者の偏桃体は大きく、海馬は小さい傾向にあるため、今回の結果では、不平等を感じることでストレスがかかり、偏桃体が強く反応しますが、海馬はあまり反応しないと考えられます。

反応しないということは使われていないということですから、MRI測定時は委縮していなくても、いずれは委縮に向かっていくということでしょう。
それによって1年後のうつ病傾向が分かるということだと思います。

また、海馬が委縮するということは、うつ病だけでなくアルツハイマー型認知症にもなる可能性は高いということですね。

 

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参考:経済的な不平等とうつ病傾向を結ぶ扁桃体と海馬の機能を解明
    1.うつ病の脳科学的研究:最近の話題