利他主義になる原因

利他主義になる原因

前回『利己主義者と利他主義者の違い』について表面的な違いではなく、脳の違いについてお話しました。

しかし、もっと根本的な”なぜ利他主義や利己主義になるのか”、というところが一番の疑問ではないでしょうか。
利己主義=自己中心的になる原因については以前にご紹介しておりますので、今度はなぜ利己主義になれるのかという原因についてお話します。

 

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豊かな社会と暮らしが利他的な行動を生む?

アメリカのケンタッキー州ジョージタウン大学のアビゲイル・マーシュ教授が行った研究では、一度も会うこともないであろう病気を患う他人のために腎臓提供を行ったドナーは並外れた利他主義と仮定して調査を行いました。

利他主義者の脳を調べてみると扁桃体が平均より約8%大きいことが分かりました。
それにより、他者の恐怖をより深く認知し、困っている人を敏感に察知します。

出典:利己主義と利他主義の違い

マーシュ教授は利他主義になる原因として次のようにも語っています。

「100年前では考えられなかった血液や骨髄を他人に提供する人=利他主義や思いやりが広がりつつある背景には、生活水準の向上にあります。
社会が豊かになり暮らしが良くなると、他人に目を向けられるようになり、その結果、ボランティアや寄付から腎臓の提供まで、他者への利他的な行為が増えるのです。」

自分の身が安全で生活に余裕があるからこそ、他人にまで意識が向けられるというのは理にかなっています。
しかし、その意識が利他的な行動に及ぶかどうかはまた別の話です。

では、利他主義になるにはどのような条件が必要なのでしょうか。

 

 

 

他人のことを考えさせる機会を多く与えることで、側頭頭頂接合部の灰白質が広くなる可能性

スイスにあるチューリッヒ大学のアーネスト・フェール博士の指導のもと、研究者らは次のような実験を行いました。 健康な成人の被験者が30人集められ、面識のない人とお金を分け合うことについて被験者に質問しました。
その結果、お金を分けるのに賛成した人がいたのに対し、一方で少額のお金ですら他人に渡したがらない人がいました。

さらに被験者の脳をMRIで解析したところ、お金を他人に分けることに賛成した(利他的)人の脳には、側頭頭頂接合部にある”灰白質”が、お金を分けたがらなかった(利己的)人よりも広いことが判明しました。 側頭頭頂接合部は”自他の区別””心の理論”に関わる重要な役割を担っており、意思決定に関わる部位として知られ、この領域が損傷を受けると、道徳的判断に影響が出ると考えられているようです。

出典:利己主義者と利他主義者の違い

ただしフェール博士は、この結果から利他主義かどうかを安直に結論づけるのではなく、さらなる検証を行い、子どもが成人になる過程において自分だけでなく他人のことを考えさせる機会を増やすことで、側頭頭頂接合部の灰白質が広くなるのかどうかを調査していくのだそうです。

自己愛が強い子どものころから他人のことを考えるように促していれば、成人する頃には高い共感能力や利他的な行動が身につきそうです。
もしかすると腎臓提供者は、子どもの頃に親からそのようにしつけられていたのかもしれませんね。

 

 

参考:他人に尽くす人、自分のことしか考えない人の違いは脳にあった?(スイス研究)
   人が利他的になる理由