利己主義者と利他主義者の違い

2018年11月13日

利己主義者と利他主義者の違い

自己中心的に振る舞い、他人を顧みない利己主義な人。
自分は損をしても他人を優先する、利他主義な人が世の中にはいます。
この2種類の人たちは一体どう違うのでしょう。

今回は、利己主義者と利他主義者の違いについてお話します。

 

 

利己主義者は協力行動をするまでに時間をかけ、利他主義者は瞬発的に協力行動をする

玉川大学脳科学研究所の山岸俊男 特別研究員らが率いる研究チームが2012年から2017年までの間に複数行われた実験によると、利己主義者と利他主義者が行う社会的な協力行動をするメカニズムが違うことを解明しました。

行われた実験内容は、独裁者ゲーム囚人のジレンマゲーム公共財ゲームなど、他人と協力することで利益を得るか、裏切ることでそれ以上の利益を取るかというゲームを協力行動の指標として用いました。

その結果、一貫して”利他主義者と分類された人”は、素早く意思決定したときには協力的でしたが、意思決定に時間がかかると非協力的になりました。
対して一貫して”利己主義者と分類された人”は、その逆であったことが分かりました。

利他主義者がどんなときに非協力的になるのかというと、他者から搾取されることを回避したいと思う(社会的リスク回避傾向)気持ちが強いほどにそうなるということが分かり、利己主義者が協力的になるのは、自己の評判などの長期的な利益を考えるときだと分かりました。

何となくみんなが経験則で思っていた答えが科学的に証明されたということです。
瞬発的に協力的な人は利他主義な人で、瞬発的に非協力的な人と、長考してから協力的にふるまう人は利己主義な傾向にあるということが分かりますね。

ただ、長考後に非協力的だったからといって利他主義とは判断しにくいような気がします。

 

 

 

利他主義の人は側頭頭頂接合部にある灰白質が広い

利他主義の人は側頭頭頂接合部にある灰白質が広い出典:wikipedia

スイスにあるチューリッヒ大学のアーネスト・フェール博士の指導のもと、研究者らは次のような実験を行いました。
健康な成人の被験者が30人集められ、面識のない人とお金を分け合うことについて被験者に質問しました。
その結果、お金を分けるのに賛成した人がいたのに対し、一方で少額のお金ですら他人に渡したがらない人がいました。

さらに被験者の脳をMRIで解析したところ、お金を他人に分けることに賛成した(利他的)人の脳には、側頭頭頂接合部にある”灰白質”が、お金を分けたがらなかった(利己的)人よりも広いことが判明しました。

側頭頭頂接合部は”自他の区別””心の理論”に関わる重要な役割を担っており、意思決定に関わる部位として知られ、この領域が損傷を受けると、道徳的判断に影響が出ると考えられているようです。

前述の玉川大学脳科学研究所の研究と総合的に見ると、利他主義の人が素早く意思決定した時ほど協力的なのには、側頭頭頂接合部の灰白質が大きいからだということでしょうか。

 

 

利他主義者は感情を司る扁桃体が普通よりも約8%大きかった

利他主義者は感情を司る扁桃体が普通よりも約8%大きかった出典:wikipedia

アメリカのケンタッキー州ジョージタウン大学のアビゲイル・マーシュ教授が行った研究では、一度も会うこともないであろう病気を患う他人のために腎臓提供を行ったドナーは並外れた利他主義と仮定して調査を行いました。
利他主義者の脳を調べてみると扁桃体が平均より約8%大きいことが分かりました。

それにより、他者の恐怖をより深く認知し、困っている人を敏感に察知します。
しかし、思いやりを向ける対象が”赤の他人にまで及ぶ”ということが大きな疑問を持つところです。

腎臓ドナーはアメリカ国民の2000人未満とごく少数。
マーシュ教授は腎臓ドナーに質問をしたところ、「特別なことは何もない。他のみんなと同じです」とドナーは答えました。

マーシュ教授は、この答えから利他主義者の世界は自分が中心ではなく、そもそも中心がないため内輪も外輪も関係なく、自分の思いやりを向ける価値を比べることがないと分析しました。
ここに、利他主義者とそうでない人を分かつところだと語っています。

 

関連記事→自己中心的な人の13つの特徴 前編 
     自己中心的な性格の原因 

 

 

 

参考:【脳科学研究所】利他主義者は素早く協力し、利己主義者は時間をかけて協力する-米国の科学雑誌”米国科学アカデミー紀要(オンライン版)に論文を発表-     親切なのは生まれつき? 利他的な人と利己的な人では脳の構造が異なることが判明(米研究)
   他人に尽くす人、自分のことしか考えない人の違いは脳にあった?(スイス研究) 
   人が利他的になる理由