我慢強い人、我慢できない人の違い

2018年10月23日

我慢強い人、我慢できない人の違い

世の中には我慢強い人、我慢できない人がいます。
我慢できる人は、嫌なことがあってもじっと耐えることができ、我慢できない人は忍耐力がなかったり、意思が弱いと思われがちですが、実際はどうなのでしょうか。

今回は我慢強い人、我慢できない人の違いについてお話します。

 

我慢強い人、我慢できない人の違いは脳にあった

アメリカ・スタンフォード大学の心理学者ウォルター・ミシェル氏が1968年に行った有名な実験で、4歳児たちを集め一人ずつ部屋に招き、マシュマロを置いて実験者はこう言って部屋を出ました。

「今食べてもいいけれど、15分間待つことができたら、もう1つマシュマロを上げる。途中で食べたくなったら、ベルを押せば食べられるけど、もう1つのマシュマロは食べられなくなる」

そのとき、ほとんどの子どもは待つことを選びましたが、待てなかった子供、待つことができた子どもがおり、平均で2分間でした。

この実験から12年後、ミシェル氏はマシュマロ実験に参加した被験者約600人の保護者や教師、学習指導者に対して被験者たちの日常生活のアンケートを実施しました。
その結果、1分以内にベルを鳴らした子どもたちは行動上の問題を抱えていること高く、一方、15分待てた子どもたちは、大学進学適性試験のスコアが平均210点も高かったのです。

わたしたちが思う意志力とは、歯を食いしばって誘惑に耐えることだと思いがちですが、ミシェル氏は研究を通して逆であると示しました。
”満足を遅延させる”ことは、”関心を戦略的に配置する”(マシュマロから気をそらす方法を科学的に説明した表現)ことができるかどうかであり、子どもたちの欲求は、克服されたのではなく、そらされ、忘れ去られたのです。

満足を遅延できた子どもは、「自分の意志力が限られたものであることを理解していた。マシュマロのことを考えてどんなにおいしいかと思ったりしたら、それを食べてしまうだろう。まずはそれを考えないようにすることが鍵なのだ」とミシェル氏は語りました。

さらに、マシュマロ実験から40年経過したころ、当時の被験者60人の脳神経レベルの違いを調べました。

研究の主実験には、「ゴー・ノーゴー課題」(go/nogo task)というよく研究されている手法が用いられた。被験者は、さまざまな表情をした人の顔を短時間ずつ見せられた。最初は男性と女性の顔を見せられ、どちらかが見えたときにスペースキーを押すようにと指示された。
(中略)
被験者は、笑顔を見てもスペースキーを押さず、悲しい顔を見たときだけ押すように指示された。感情的な誘因に抵抗し、行動する前に考えることを求められる課題だ。その結果、満足の遅延に長けていた被験者のほうが、笑顔を見てもキーを押さないことに成功した確率がはるかに高かった。
(中略)
つまり遅延に長けていた被験者は、感情的刺激による衝動に影響されにくかったのだ。

この実験データを踏まえて、研究チームは次に、被験者24名の脳をスキャンしながら再びゴー・ノーゴー課題を行った。

結果は予想されたとおり、満足の遅延に長けていた被験者のほうが、下前頭回の活動量の増大を示した。下前頭回は、衝動を制御し、望ましくない行動を抑制することに関与する脳の領域だ。しかもこの差は、難度の高いノーゴー刺激において特に顕著にみられた。この結果は、満足の遅延能力の高い被験者が、衝動に抵抗するにあたって、最も適切な脳の領域を利用していたことを示唆している。

もうひとつ観察された脳の違いは、腹側線条体にかかわるものだ。腹側線条体は、コカインからマシュマロまで、さまざまな報酬の処理に関与していると以前から考えられている領域だ。予想されたとおり、満足の遅延能力が低かった被験者は、笑顔を見せられたときにこの領域の活動量が増大した。この結果は、「外からの誘惑」に、彼らがより敏感に反応する傾向を示唆している。
出典:「我慢できる人」は脳が違う?

かなり長くなりましたが、まとめるとこうなります。

我慢強い人、我慢できない人の違いは脳にあった

  • 我慢は耐えることではなく、気を反らすこと
  • 我慢強い人は、学力が高い傾向
  • 我慢強い人は、衝動を抑える下前頭回(前頭葉内にある)の活動量が増大している
  • 我慢できない人は、脳の腹側線条体の活動量が増大しているため、衝動的(外からの誘惑に弱い)

 

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