人は大勢集まるとモラルや責任感がなくなる!集団心理のメカニズムとは? 後編

人は大勢集まるとモラルや責任感がなくなる!集団心理のメカニズムとは?

前回は『人は大勢集まるとモラルや責任感がなくなる!集団心理のメカニズムとは? 前編』で集団心理の状態などをお伝えしました。
今回は、脳のMRIスキャンを用いた研究結果や考察をまじえて集団心理についてお話します。

 

集団心理における脳のMRIスキャンを用いた研究

集団心理における脳のMRIスキャンを用いた研究出典:https://youtu.be/aQZ8tTZnQ8A

アメリカのマチューセッツ工科大学、カルフォルニア大学バークレー校、カーネギーメロン大学の合同研究チームが発表した研究結果によると、次のような実験を行いました

学生の被験者23名を対象に行われた。画面に出たメッセージに従って素早く反応し、勝つとお金が手に入るというゲームを行ってもらうのだが、このゲームは、別の被験者と個人同士で、または、被験者グループとグループ対戦の2通りの方法で行なわれると説明されていた。
 メッセージの内容は、あらかじめ各々の被験者を調査し、それに基づいたものが使用された。その内容は「Facebookに600人以上の友人がいる」などのソーシャルメディアに関するものと、「皆で共有している冷蔵庫から食べ物を盗んだことがある」などの道徳的な問題に関するものが含まれていた。 被験者がゲームをしている間、研究チームは被験者の内省や倫理判断と関係している、脳の内側前頭前皮質をモニターした。その結果、被験者たちがグループ対戦と告げられた時は、個人で戦っていると告げられた時に比べて、道徳にかかわるメッセージが表示されたときの内側前頭前皮質の活動が著しく低下していたことがわかった。
 また、ゲーム終了後、対戦相手の顔写真を被験者に選ばせたところ、内側前頭前皮質の活動が低下した被験者は、チームメイトに比べて写りのよくない対戦相手の顔写真を選ぶ傾向を示した。
 さらに今回の研究ではすべての被験者が同じような反応を示したわけではないという興味深い結果も得られた。グループで競争することに強く影響を受けた者もいれば、あまり影響を受けなかった者もいた。
 集団に入ることで、簡単に自分を見失いやすい人と、まわりに流されない人がいると考えられるが、その理由はまだ明らかになっていない。
出典:集団行動が生む”あたりまえ”の心理

この研究を率いたミーナ・シカラ氏は、「少なくとも集団は、匿名性を生み出し、個人の責任を縮小させ、”大義のためには必要である”という考えで、危険行為に及ぶ。だが今回の研究だけでは加速する集団同士の争いをすべて説明することはできない。・・集団に身を置いた場合、一度立ち止まって考え、これまでの自分の道徳観念と照らし合わせて、その行動が果たして倫理的であるのかどうかを省みることが、集団心理の影響を弱めるのに役立つ可能性はあるだろう。」と説明しています。

 

 

 

被害者を責める人は集団心理に流されやすい?

被害者を責める人は集団心理に流されやすい?以前、人に危害を加えるべきではないし、人々は平等に扱われるべきであるという価値観の「個別化的価値観」について取り上げました。
この個別化的価値観の反対の価値観である「結束的価値観」は、集団や和を大事にし、権威に対する忠誠心や服従心が高く、純潔を重んじる価値観を持つ人たちがいます。

自分が個人としての意識よりも集団や組織の一員としての意識にかなり偏っている人の場合、加害者ではなく「被害者にも問題がある」と考えます。
その根底では集団に対する忠誠心の証として、自分が属する集団以外には冷遇や攻撃することを求め、所属集団内の人間においては、個人の安寧よりも和や純潔を求めます。

つまり、個人がどうなろうと集団の和が大切でうまくいっていればいいという価値観なのです。
それが精神の未熟な人や弱い人に多くみられるといえば納得できますね。
まさに、弱いものほどよく群れるというわけです。

しかし、集団心理が悪い方向に作用することのほうが多いということも否めませんが、いい方向に作用する場合も少なからずあります。
それを本来の目的としたのが会社組織です。
1人ではこなせない難易度の仕事、分量などを得意な人に任せたり、病気などの事情により業務を行えないときに誰かが肩代わりするシステムは一致団結して一つの大きな物事を成し遂げようとするところは集団心理のプラス面といえます。

ただし、日本の社会では集団心理のプラス面だけを見て用いようとしており、マイナス面には事件が起きない限りは目をつぶっているのが現状です

 

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参考:http://karapaia.com/archives/52223829.html
   https://note.mu/umezuyukie/n/n0cadb6cf4b6e
   https://www.ic.nanzan-u.ac.jp/ISE/japanese/publications/se28/28-08karasawa.pdf