”分からないから聞く”は足りない情報が分かっているから聞けることである

2018年2月2日

「分からないなら聞いて」
「不明点があればご質問いただければと存じます」
社会人として働くと自社内外問わず、こうした文言を耳にします。

一見、親切なように思いますが、場合によってはかなりの不親切となりえることがあります。
これは特に仕事を請け負う側、会社内では目下側が実感する内容となるのではないでしょうか。

この段階で、ピンと来た人は一度でもこのような状況で理不尽な思いを経験した人でしょう。

対して、”何を当たり前のことを”と鼻で笑った人は、勤続年数が長くなり、自分の知識は他の人も知っていて当たり前のことだと思っていませんか?

 

 

足りない情報がわかる例

フリーランスで受託していたクライアントの中に、毎度必要な情報をよこさない会社がありました。

代表的な内容でいうと、

  • どのような案件か
  • 納期
  • 単価

そして結びの言葉で”不明点があればご質問いただければと存じます。”

決定的に足りない情報があります。
何でしょうか?
答えはボリュームです。

例えば納期が3日後として、100件の手入力を依頼されたとしたらこの作業は可能でしょう。
しかし、10000件だとしたら不可能でしょう。

この場合はボリュームの情報が足りないなと分かるので、さっそく不明点の質問ができます。
むしろ”質問してください”という言葉が”あなたの立場になって情報をすべてそろえることはしませんが”という言葉に見えてきました。

 

 

分からないところが分からなければ質問はできない

分かりやすい例をあげるとするなら、初心者は何もわからない状態です。

  • 会社の方針
  • 作業方法
  • 作業工程
  • 暗黙の了解

これは新社会人であっても中途採用者であっても、入社して日が浅ければ浅いほど暗い洞窟にいるのと同じように右も左も前に何があるのかも分かりません。

そんな教わった情報の中で仕事をしていきますが、それ以外の情報がない場合は疑問を感じないまま作業してしまいミスすることもあります。

そのときに上司や先輩が放ちがちなのが「分からないなら聞きなさい」です。

もちろん疑問を持ちやすい人、あまり持たない人の違いはあり、質問すべきところで質問していない可能性もありますが、”質問をしない=質問しないことが悪い”という風潮がほとんどです。

そこに、質問に至るための情報やミスを回避できる情報を与えていなかったという考えは皆無です。

最近特に思うのが、初心者から脱して同じ業界に長年いる人はこのことを忘れていることが多いと感じます。

 

 

自分で理解しているつもりでも質問はできない例

新人時代、入社した会社の勤怠管理はEXCELに手入力でした。
そのときの出向先の勤務時間が本社と違っており、勤怠への入力時間をいじらなければならなかったので少し複雑でした。

同期は、この仕組みが自分では理解できているつもりで勤怠を提出していたのですが、管理部から違うと返され先輩は例の言葉を放ちます。
言いたいことは分かりますが、そういうことじゃないと感じました。

自分があっている(勘違いしていることを知らない)と思っていることに疑問は感じませんよね。
疑問を感じないことはわざわざ他人に確認なんてしません。
これに関しては、同期も悪いので先輩ばかり悪いわけでもないのですが、これが情報が与えられないせいで質問まで至らず、ミスにつながり、それを「分からないなら聞け」と一蹴されたとなれば、これからの信頼関係や仕事にも影響しかねません。

 

 

日本企業に多い、下からの行動を異様に求める弊害

もちろん作業者によって理解内容が変わるので、”分からなかったら聞いて”は必要です。
しかし、情報を与える方が必要な情報をそろえようとせず、聞かれることを待ったり聞かれることだけに答え、作業者にミスなく、または精度のいい仕事をしろというのは、怠惰で無茶というものです。

作業者からの働きかけがいくらあったとしても、情報を与えようとしなければ、得られる情報は限られてしまうことを知ってほしいものです。
そして、「分からないなら聞ききなさい」と言うなら質問に至るまでの必要な情報をきちんと伝えてからにしましょう。

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参考:新入社員に「わからないことがあったら質問してね」と言っても、うまくいかない意外な理由!?